お子さんの歯並び、なぜ悪くなるの?

最近、よく親御さんから「うちの子の歯並び、すごい悪いんです!」と心配される声をよく耳にします。さて、原因はなんでしょう?

  • 咬む回数、食事時間の減少

噛み応えのある食事が中心だった戦後に比べ、加工食品やファストファストフードなどの柔らかい食事が好まれる現代の咀嚼回数は1/4まで減少しております。これにより現代人の咬む能力は低下し、顎の成長に影響を及ぼしています。結果、顎が小さい,歯の並ぶスペースが狭い子供たちが増えています。

  • クセ(悪習慣)

一見、歯並びやかみ合わせとは関係なさそうですが、ひとつひとつの積み重ねが顎の骨の成長やゆがみ、歯並びに影響を及ぼします。早めにやめさせましょう。クセを治すためのトレーニングもあるので、お子さんの歯並びに影響があるクセがきになる方はご相談ください。

→こんなクセはありませんか?

 ・爪を噛む

 ・指しゃぶり

 ・唇をかむ

 ・口で呼吸をする

 ・うつぶせ寝

 ・片方ばかりで噛む

 ・頬杖

 ・横向き寝

ひとつでもチェックがあれば歯並びに影響がでている可能性があります。

  • 遺伝と環境

親子の顔が似るように、骨格も遺伝する場合があります。特に反対咬合の原因は、遺伝によるものが少なくありません。

  • 歯の巨大化

昔に比べて乳幼児期の栄養状態が良くなってきているせいか、永久歯が大きくなってきているという研究データがあります。

顎の発育不全により、顎は小さく、歯そのものは大きくなっています。さらに、よくないクセなども加わり悪い歯並びになる子どもがふえています!!

悪いはならびを引き起こす原因はひとつとは限りません。

心当たりがあるもので改善できることは、これからすぐにでも改善していきましょう!

小児矯正のベストタイミングはいつ?

小児矯正に適した時期は、9歳くらいまでと言われています。これは12際を過ぎると上あごの成長が95%まで進んでしまうからです。当院では5~8歳くらいを小児矯正のゴールデンエイジだと考え、保護者の皆さんへお伝えしています。それを過ぎても治療ができないわけではありませんが、お子さんのアゴの発育を促す小児矯正は年齢があがるにつれてだんだん難しくなります。遅くとも10歳までには治療を開始するのが望ましいです。

歯をきれいに並べる矯正治療はいつでもできます。しかしお子さんの健康な未来をつくる矯正は開始できる時期が決まっています。「あのとき相談しておけばよかった・・・」

そんな後悔をしないためにも、まずはご相談ください!

お子さんのむし歯治療について

皆さんは歯医者というとどういうイメージがあるでしょうか?おそらく「怖い」「痛い」などマイナスのイメージを思い浮かべた方も多くいらっしゃると思います。わたしたち大人も歯医者さんに行くのはドキドキしますよね。なぜ歯医者さんで治療しなければならないのか、わからないお子さんは、わたしたち大人の何倍も不安でいっぱいです。

なんのために治療をしなければいけないのか納得いかないまま、いきなり歯を削られたり、麻酔の注射をされたら、歯医者さんが怖いと思うのは当然です。すぐむし歯を治してあげたいという気持ちも分かりますが、「むし歯を治すことがゴール」ではありません。

本当のゴールは「むし歯にならないようなお口の環境を整えて、お子さんの健やかな未来をつくってあげること」です。

日々の診療をするうえで、子どもたちの未来をつくるお手伝いができる小児歯科でありたいと思っております。不安なことがあればいつでもご相談ください。

むし歯にならないためには

お子さんのむし歯の原因は・・・・・甘いお菓子の取り方に問題がある場合がほとんどです。

むし歯になってしまった子は、いまのおやつの取り方を見直していくことがむし歯予防の近道です!!

甘いお菓子を食べるとその後、30分程度むし歯菌が歯を溶かします。その後、唾液が溶けた歯を修復してくれますが、常におやつを食べたり、お砂糖のはいった飲み物を飲んでいると歯が溶けている時間が長くなります。おやつは食べてもいいのですが、時間を決めてあげないとあっという間にむし歯になってしまいます。

→ポイント:おやつは時間を決めて規則正しく食べて、むし歯になりにくいお口を目指しましょう!!

甘く感じる飲み物はたくさんの砂糖が入っています。1日中このような飲み物を口にして

いるとその間歯が溶け続けてしまいます。

甘いお菓子やジュースは3歳以降から与えることをおすすめします。3歳までは味を感知す

るセンサーの数多く、味覚が敏感な時期といわれています。その時期に甘いお菓子やジュー

スをとる習慣があるとその後も甘いものを好みやすくなります。甘いものを食べる時間を

おくらせることは生涯のむし歯を予防する一番の近道です。

当院では歯磨き指導や栄養指導も行っております。ご希望がございましたら当院の歯科衛

生士にお気軽にご相談くださいませ。また歯並び、かみ合わせに関しましてもご相談を受け

つけておりますので、気軽にお声がけください。   

                                      

口腔ケアと脳卒中

脳卒中は、突然発症する脳血管の病気の総称です。歯周病との関連も注目されており、

歯周病やむし歯を放置することで、感染性心内膜炎を招いたり、細菌性脳動脈瘤をつくることがあります。細菌性脳動脈瘤は脳内の細い血管にできやすく、脆く破裂して、くも膜下出血を起こしやすくなります。

どういう症状が現れるのでしょうか?脳卒中の代表的な症状には次のようなものがあります。

・左右片方の手足や顔半分に麻痺やしびれが起こる

・ろれつが回らない、言葉が出ない。

・激しい頭痛がする、吐き気がする。

・片目が見えない、物が二重に見える、視野の半分が欠ける

・手足に力が入らない、立てない、歩けない

・フラフラする、意識がもうろうとする

そして、脳梗塞の「前兆」にも注意が必要です!!

脳梗塞の場合、一時的に症状が現れ、多くは数分から数十分で元に戻る前触れ発作が起こることがあります。これを「一過性脳虚血発作」といいます。放っておくとその後に脳梗塞を発症する危険が高いので、できるだけ速やかに病院を受診しましょう。

脳卒中にならないために気をつけたいことは?

脳卒中を防ぐには「動脈硬化の予防」が重要です。予備軍となる危険因子の治療はもちろん、生活習慣の改善がポイントになります。

具体的には、

・塩分を控え、バランスの良い食事をとること

・適度な運動習慣をもつこと(汗がにじむ程度の有酸素運動で十分です)

などです。また、血栓予防のためにこまめに水分補給をするようにしましょう。水分補給を我慢しすぎると脳梗塞のリスクになります。就寝前、起床時、風呂上がりなどに「コップ1杯の水」がおすすめです。

いわゆる脳卒中家系の人も、食生活を見直すことで予防は可能です。ただし、脳動脈瘤には遺伝性があります。親や祖父母、兄弟姉妹にくも膜下出血を起こした人がいる場合は、一度頭部MRA検査を受けておくとよいでしょう。

歯周病は血液疾患、呼吸器疾患のほか全身にさまざまな影響を及ぼし、脳卒中との関連も注目されています。問題になるのは歯周病原因菌。歯周病やむし歯を放置することで、歯肉などの傷から菌が血管内に入り、心臓の弁に菌が付着すると、感染性心内膜炎というびゅきになるだけでなく、その菌が血液を介して能に流入して、細菌性の脳動脈瘤をつくることがあります。厄介なことにこの細菌性脳動脈瘤は、脳内の細い血管にできやすく、脆く破裂(くも膜下出血)しやすいのです。

歯周病は首の動脈(頸動脈)の動脈硬化を引き起こす可能性も指摘されています。さらに脳卒中を発症後は、麻痺や筋力の低下で歯磨きが難しくなることも多くなります。

歯科通院による歯周病対策は、脳卒中の予防・再発を防止するうえでとても重要な意味を持つのです。

歯周病が招く「全身リスク」の衝撃

今現在、新型コロナウイルス感染症が恐れられているが、あらゆる細菌やウイルス感染症を防ぐうえで「口腔内の清潔」は非常に重要です。例えば口腔内が汚れていると歯周病菌が増え、インフルエンザウイルスをキャッチしやすい。そのため、口のなかを清潔にして歯周病菌を減らせば、それだけ「ウイルスを掴む手」が減ります。実際に近年、口腔ケアをきちんと行うことが肺炎の改善や予防に有効であること、インフルエンザの発症率を押さえるということが明らかになってきました。

それだけではありません。口腔内の汚れは全身に悪影響を及ぼします。

口の中をきれいにしないと心臓病の発症に関わるということがわかっています。歯ぐきの出血などから口腔内細菌が血流内に入り込み、血栓(血のかたまり)の形成に関与しているとかんがえられています。

また、歯周病はさまざまな全身疾患と関連があるが、とりわけ「糖尿病」と関係が深いのです。

歯周病菌は増えると、血糖値を下げるインスリンの働きを阻害するといわれています。

ですから糖尿病と歯周病は双方が症状を悪化しあってしまうのです。一方で20年間、糖尿病を患っていた人が歯周病の治療をしたら、内科医が驚くほど劇的に糖尿病が改善した例もあるのです。

血管内壁が厚くなり、血流が悪くなる「動脈硬化」も、その原因に歯周病器の存在が指摘されています。血栓によって血管が詰まる「脳梗塞」も同様です。

このように、痛みがない歯周病が、いかに幅広く影響しているかがおわかりいただけるかと思います。

さてそれでは、あなたは大丈夫でしょうか?

歯周病が疑われる症状を以下に列挙します。どれくらいあなたにあてはまるでしょう?

□歯ぐきが腫れている

□歯ぐきがむずがゆい

□口臭がある

□歯ぐきから出血がある

□口の中がネバネバする

□硬いものが食べづらい

□歯がグラグラする

□歯が伸びたような気がする

□歯ぐきから膿がでる

以上の9つのうち1つでもあてはまるようでしたら要注意です。

複数当てはまる症状があれば間違いなく歯周病です。

歯周病は、進行すると歯と骨をつなぐ歯根膜が徐々に溶けて、歯を失う原因にもなるのですが、進行するまでは自覚症状がない場合がほとんどです。

正常な状態の歯肉はピンク色で引き締まっていますが、歯垢がたまっていくと歯ぐきに炎症が生じて暗赤色に腫れます。歯磨きのときや硬いものを食べた時に出血しやすいですね。

炎症が進行すると、歯と骨をつなぐ歯根膜が溶け、隙間(歯周ポケット)ができます。

歯を支えている骨が溶け始め、やがて歯ぐきが下がって、歯がグラグラと動きます。歯ぐきから膿がでて口臭も強くなります。そして重症になると骨がほとんど溶け、歯が自然に抜け落ちてしまうのです・・・・・・

「出血しやすくなる」の段階で歯科治療を受ければ、正常な状態に戻りやすいですが、それ以上進行すると完全にすことは難しくなります。

「歯が抜ける」という最悪な事態を防ぐため歯周病が疑われる症状を是非参考にしてほしいです。

というお話でした。

親になる・なったあなたへ

ライフステージによって生活が大きく変わるように、お口の注意点も異なります。

女性の大きなターニングポイントは妊娠期です。妊娠中はホルモンや体調の影響で、お口のトラブルが起こりやすい時期。歯科の受診時は、必ず妊娠中であることを伝え、母子健康手帳を持っていきましょう。

出産後は、わが子へのセルフケアも欠かせません。しかし赤ちゃんへの歯磨きに困るパパ・ママも多いものです。そんなときは、ぜひ小児歯科も利用しましょう。

プレママ・プレパパへ

妊娠中の歯科健診はいつでもよいですが、治療は妊娠の時期によって対応が異なります。体調やトラブルにもよりますが、本格的な治療が受けられるのは安定している妊娠中期で、そのほかの時期は応急処置が中心です。

つわりで歯磨きができない・間食が多い、女性ホルモンの影響で細菌が増えやすいなどの理由で妊娠中はセルフケアが十分にできないうえ、ホルモンの影響で炎症が起こりやすい状態です。

妊婦の9割に「妊娠歯周炎」が起こると言われています。歯周病が重症化すると早産や低体重児の出産リスクになることがわかっていて、早産のリスクは約倍という報告もあります。

  • 対策1 つわり中はセルフケアを工夫

→吐き気で歯磨きがしづらければ、体調のよい時間帯を見計らって、1日1回はしっかりセルフケアを。補助的にデンタルリンス(洗口剤)もよいでしょう。間食は甘いものを避け、食べたらブラッシングをセットにしてください。

  • 対策2  パパも一緒にプロのケア&治療を

→赤ちゃんは、生まれたときにはお口に細菌がいませんが、徐々にお口にむし歯菌が伝染します。感染元になりやすいのが両親です。赤ちゃんに有害な細菌をうつさないよう、妊娠期間中に治療を受け、お口の細菌数を減らして、赤ちゃんへの有害菌の伝染を少なくしましょう。

子どもが生まれたら

乳歯が生え始めたら、子供の歯磨きの習慣づけを始めましょう。まずは保護者がみがき、子どもが自分で歯ブラシを持てるようになったら自分みがきと仕上げ磨きの二段構えにします。歯科医院で相談するのもおすすめです。

保護者みがきの仕方

膝の上に頭をのせて、寝かせてみがきます。歯ブラシは乳児用のものを使い、エンピツを持つようにして、片方の手の指で子どもの唇を軽くめくるように抑えてみがきましょう。

2歳ころまでは、上の前歯の外側、歯と歯の間などがむし歯になりやすいので、注意しましょう。

いやがらずに上手にできたら、ほめてあげてください。